日本林学会誌
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低位生産林地におけるヒノキ人工林造成の経営的評価
家原 敏郎黒川 泰亨
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1990 年 72 巻 1 号 p. 34-45

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抄録

近年,マツ枯損跡地のような低位生産林地におけるヒノキ人工造林が急増しているが,立地的・経営経済的環境条件を無視した人工造林は,投資採算性の点で疑問も多く,その経営的評価が問題となっている。本稿は,かかる低位生産林地におけるヒノキ入工造林の投資採算性に関するガイドラインを示すことを目的とした。本稿では,まず,育林投資に関する採算性評価のためのモデルを提示した。次に,低位生産林地におけるヒノキ林分による利用材積と素材価格の推定,林分構造に関する検討を行い,最後に,投資採算性の評価と投資限界について検討した。この中で,とくに投資採算性に及ぼす地位の影響に注目した。その結果,地位差の克服には,伐出費や育林費の大幅な節減,多額の補助金の支給が必要であることなどがわかった。当該林地を対象としたヒノキ人工林造成は,地位を優先して考慮し,伐出条件や伐出費,育林費水準を勘案して経済的投資限界を明確にしたうえで推進する必要があることを明らかにした。

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