1991 年 73 巻 6 号 p. 419-425
本論文は,実質賃金率の上昇が林業経営における二つの生産要素(時間と労働)の投入量に及ぼす影響について考察した。森林純収穫ルール,内部収益率ルール, FISHERのルール, FAUSTMANNのルールの,それぞれの決定ルールを利潤関数として定式化し,利潤関数が強い凹関数であるという仮定の下で,比較静学分析を試みた。結果は,実質賃金率が上昇するとき,最適伐期齢は上昇する(内部収益率ルール),最適労働投入量は減少する (FISHERのルール),上述の現象のうち少なくとも一方が生じる(森林純収穫ルールおよびFAUSTMANNのルール),である。