日本林学会誌
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林道が開設された流域における流出解析
遺伝的アルゴリズムによる複合タンクモデルの最適構造とパラメータの同定
市原 恒一豊川 勝生澤口 勇雄
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1996 年 78 巻 2 号 p. 134-142

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抄録

林道が建設された流域において流出量と降雨量を測定して,複合タンクモデルにより流出解析を行った。複合タンクモデルは,谷流域,路面および道沿い流域のそれぞれのタンクが連結されたものである。タンクをネットワークのユニット,流出孔および浸透孔を経路と見なし,タンクの最適配置と最適な流出•浸透孔係数と高さを,遺伝的アルゴリズム(GA)により同時に決定した。このタンクモデルにより計算した流出量は測定値に概ね一致した。さらに同じモデルを異なる降雨に適用した結果,計算値と測定値は概ね一致した。その結果,タンクの最適配置とパラメータ,路面流出率,谷流域流出率および道沿い流域流出率を求めることができた。複合タンクモデルは林道が建設された流域における流出量の予測に役立つこと,およびGAはタンクの最適配置と流出•浸透孔の係数と高さを同定する場合,極めて有効な手段であることを明らかにした。

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