1999 年 81 巻 4 号 p. 338-340
鹿児島県の抵抗性クロマツ採種園におけるクローン管理をモニタリングするために,採種園南側区域を構成する186個体のRAPDパターンを調査した。その結果,37個体(19.9%)のクローン配置が,植栽位置図と異なっていることが明らかとなった。このうち,56.8%にあたる21個体は,縦および横の列が一列ずれて植栽されていた。この要因は,この区域の形が方形ではなく三角形であることが,列の読み間違いを引き起こしているためであると考えられる。また,4個体は,紛らわしいクローン名を間違えたことによるミスであると推察された。さらに,3個体のRAPDパターンは,採種園を構成する抵抗性クロマツ16クローンのいずれとも一致せず,台木の立ち上がりであることが判明した。このようなミスにより,12カ所で同一クローンが隣り合って植栽されていることが明らかになった。このような箇所は,自家受精による種子生産性の低下や自殖弱勢の発現を避けるために,早急に改植する必要がある。