2002 年 84 巻 2 号 p. 100-103
スギ精英樹の実用的な系統管理におけるRAPD法の有効性を調べるため, 関東育種基本区内のスギ精英樹855クローンを対象としてクローンの識別を試みた。最初に選抜した37マーカーで識別できたのは629クローン(73.6%) であった。そこで17マーカーを追加した結果, 新たに14クローン (1.6%) が識別されたに留まった。次に, これまでにアイソザイム法によるクローン識別が行われている415クローンのデータを使用し, RAPD法とアイソザイム法のクローン識別率を比較した。その結果, アイソザイム法による場合には識別率が40.7%であったのに対し, RAPD法による場合には84.6%であった。さらに, RAPD法とアイソザイム法を併用したところ, 94.0%が識別され, RAPD法単独ではなくアイソザイム法を併用しながらクローン識別を行うことにより, より正確なクローン識別が可能であることが示唆された。