日本林学会誌
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許容風速による林帯の防風効果の評価
小澤 創坂本 知己
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2004 年 86 巻 3 号 p. 239-244

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抄録

林帯の防風機能は風上の風 速を基準とした風速比と樹高の倍数で表されるのが一般的である。一方, 林帯の役割は作物や家畜の保護, 飛砂の防止など であり, 風下で許容される具体的な風速や距離がある。しかし, このような林帯の保全対象に対する防風効果を評価する検 討は行われていない。本研究は防風林を評価するために保全対象に害を与えない風速 (許容風速) を基準に, その風速以下 の日数 (許容日数) を林帯からの距離に対して表す方法を検討した。福島県西郷村の社会福祉施設内に設置された人間の屋 外活動を保護するための林帯を評価対象とした。地上高1.5mにおける許容風速を2.1m/sとして林帯の防風範囲を測定 し, 許容日数の変化を推定した。その結果, 許容日数は林帯から80mまでの範囲で変化し, 林帯に近づくほど多くなっ た。林帯から24m以内では防風効果を必要としている期間の全てが許容日数になった。この表現方法を用いることで, 実 際の林帯の防風効果を評価することができることが明らかになった。

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