抄録
本論文は,近年,新しく紹介されたワーク・エンゲイジメント(仕事に関して肯定的で充実した感情および態度)について概観したものである。最初に,エンゲイジメントが活力,熱意,没頭から構成される概念であることを定義したうえで,関連する概念(バーンアウト)との異同について言及した。ワーク・エンゲイジメントは,仕事の資源(自律性,上司のコーチング,パフォーマンスのフィードバックなど)や個人の資源(楽観性,自己効力感など)によって予測されるとともに,心身の健康,組織行動,パフォーマンスを予測することができる。測定尺度として最も使用されているのがユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度であり,各国で標準化がなされている。最後に,医療場面でワーク・エンゲイジメントを向上させるための実践方法について,自助および互助の観点から言及した。