抄録
2008年10月における総合病院精神科の実態を把握するために,718施設に調査を依頼し,452施設(63.0%)から回答があった。精神科診療を行っていない施設など53施設は除外し,399施設の結果を集計し,検討した。
精神科が設置されている総合病院は,救急医療,緩和医療など,活発な医療が提供されている施設が多く,一般医療との連携が重要となる領域で精神科が果たしている役割は大きいものと考えられた。精神科医(研修医も含む)をはじめとするスタッフは,入院治療が可能な施設に比べて,入院病床をもたない施設では少なくなっていた。精神科病床数,精神科医師数ともに,前年度に比べ減少している施設が増加している施設よりも多かった。精神科救急医療や合併症治療は入院治療が可能な施設を中心にして行われていたが,専門的な治療病棟を有している施設はまだ少なかった。
総合病院精神科スタッフが充実するとともに,他の診療科との連携が今以上に適切に評価されるような診療報酬体系が整備されることが必要と考えられた。