総合病院精神医学
Online ISSN : 2186-4810
Print ISSN : 0915-5872
ISSN-L : 0915-5872
症例
修正型電気けいれん療法が奏効したペースメーカーを植込まれた精神病性うつ病の1例
目良 和彦武井 明宮崎 健祐天野 瑞紀松尾 徳大佐藤 譲原岡 陽一
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 22 巻 1 号 p. 51-54

詳細
抄録
精神病性うつ病のペースメーカー患者(男性,66歳)に対して修正型電気けいれん療法(以下,mECT)を施行した。本症例は,55歳時に徐脈性不整脈に対してVVIペースメーカーが植込まれ,58歳時からはうつ病相を繰り返したため薬物療法を受けていた。65 歳時から抑うつ症状とともに被害的な内容の幻聴と妄想が出現し,薬物療法によって改善されないため,当科に入院しmECTが施行された。mECTに際しては,施行前の循環器内科による心機能評価,施行前後のペースメーカーの動作確認,施行前の患者と地面との絶縁,ペースメーカー破損時の循環器内科による支援体制の確立などに留意した。その結果,ペースメーカーの破損や誤作動もなく,mECTを安全に施行し十分な治療効果が得られた。したがって,薬物療法によって治療が困難な精神症状を呈するペースメーカー患者に対して,mECTは安全で有効な治療手段の一つであると考えられた。
著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top