抄録
救命救急センターには多くの自殺企図患者が搬入されてくる。看護師は,希死念慮のある患者にどのように対応したらよいかわからず,希死念慮の有無については触れず,十分なアセスメントができないでいた。私たちは,事例から自殺企図者に対して希死念慮の有無を確認することは,治療のうえでも重要なことであることを学んだ。そこで『自殺未遂患者アセスメントシート』を作成し,患者の希死念慮の確認と再企図リスク判定を行い,患者の安全確認に努めた。しかし,これは入院時のみに行われるものであり,入院中に継続的な安全確認はされていなかった。入院後に再企図を起こした事例から,患者からの危険物の除去および,安全確保の強化を実施した。このように,事例を通して対応はしてきたが,そこには限界や,新たな問題が出現することがある。そのようなときに大切なことは,一事例の経験から同じ事例を繰り返さないよう,病院をあげて対応することである。