抄録
総合病院で身体合併症専用病棟として開設された精神病棟の5年間の実績を検証し,身体科医が主治医となって精神科医が管理するリエゾン精神病棟(liaison psychiatric ward)の重症身体合併症医療における有用性を提言した。精神科医2名,5床からなる小規模の病棟で,5年間の合併症入院患者数は687名,平均入院日数は13.0日であった。入院経路は,救命救急センター経由が552例(80%)と大多数を占めた。入院形態は,医療保護入院491件(71%),任意入院179件(26%),措置入院17件(3%)であった。救命救急センターや身体各科,地域の精神医療機関との連携により身体治療に重点をおいた短期入院で運用を行えば,精神的にも身体的にも重症の合併症に対応できる効率的なリエゾン精神病棟が実現できることを示した。