抄録
児童精神科を訪れる小児は,発達障害や,身体愁訴や行動上の問題を主症状とする精神疾患が多い。総合病院では身体疾患の鑑別や治療が可能であり,受診への抵抗感が少ないことから児童精神科診療の需要は多い。しかし現状では,総合病院精神科において児童精神科診療を行う施設は数少ない。横浜市立大学附属市民総合医療センターでは,専門外来として児童精神科外来を設置し,成人と共用の閉鎖病棟で小児の急性期の精神科入院治療に対応している。外来患者のICD-10による主診断はF4やF9が多い。一方入院患者については,外来患者と比較して年長でF4,F5,F2が多く,主症状は行動化や栄養障害,精神病症状などで,成人の入院適応との差異は少ない。児童思春期病棟のない総合病院においても,児童精神科診療に対応できることは多い。医療者の児童精神科診療の経験と多職種連携により,総合病院精神科における児童精神科診療の拡充が図られると考えられる。