抄録
日本総合病院精神医学会では,平成24年に児童青年期精神科診療に関するアンケート調査を実施した。回答者の所属施設の8割で児童青年期精神科診療を実施しており,うち児童青年期の外来診療は8割以上の施設が精神科で実施し,入院診療については成人と共用の精神科病棟ならびに実施していない施設が各4割以上あった。児童青年期精神科診療を積極的に実施しているのは,大学病院(ほかに小児医療センター,ナショナルセンター),あるいは精神科医師数の多い施設に多かった。 児童青年期精神科診療に関する研修は,4割が受けたことがなかった。児童青年期精神科診療を発展させるためには,専門医を含めたマンパワーの確保,円滑な他施設との連携体制,診療報酬の適正化などが必要であるという意見が多かった。本調査は,学会会員を対象とした予備的調査で,会員の代表性の問題など限界もあり,さらにしっかりしたデザインの調査研究の実施が今後期待される。