2013 年 25 巻 3 号 p. 234-239
精神疾患の治療において心理社会的介入は必要不可欠であるが,適切にこれがなされている患者は少ない。また,心理社会的な介入のトレーニングには時間もコストもかかる。適切な介入を低コストで行うために実現可能性が高い方法としては,低強度ではあるが特にインタラクティブに行えるという観点から,IT技術を利用したものが期待される。
本稿では不眠,統合失調症,不安障害,不安障害とうつ病,うつ病それぞれの疾患に対するIT技術を応用した心理社会的介入の質的レビューを行い,メタアナリシスを俯瞰することで各々の疾患で小から中程度の効果を見出した。しかしながら,アドヒアランス,長期的効果などこれらの介入には問題点も認められた。最後に,日本のこの領域における大規模研究の必要性を述べ,いかにしてIT技術による心理社会的な介入を日本において実現していくかについて考察した。