2014 年 26 巻 3 号 p. 278-286
背景:アレキシサイミアは精神療法の予後を悪化させることが報告されてきた。しかし,アレキシサイミアが薬物療法の予後に与える影響については知られていない。
方法:大うつ病の入院患者26名について前方視的に調査した。患者は通常の臨床設定で薬物療法を受けた。入院時に種々の社会医学的項目とTAS-20,SDSを,退院6カ月後に就労の有無と再入院の有無を調査した。
結果:ロジスティック回帰分析の結果,退院6カ月後の就労の有無に影響を与える有意な因子は,入院時のアレキシサイミアの程度と婚姻の有無だった。再入院の有無に影響を与える有意な因子は存在しなかった。
結論:本研究では,アレキシサイミアは薬物療法を受けた大うつ病患者の予後と関連していた。大うつ病患者の予後を改善するために,アレキシサイミアを考慮した治療戦略を検討することが有用かもしれない。