2014 年 26 巻 3 号 p. 270-277
精神障害を有する妊産婦では,周産期において向精神薬の中断や心理社会的ストレスなどによる精神障害の再発や悪化のリスクが高まるが,予防のための系統的なストラテジーは確立されていない。このため,精神障害患者が周産期において直面する問題のマネージメントを行い,既存障害の悪化を予防し,リプロダクティブヘルスの向上を目指した介入が求められている。
今回われわれは,精神障害を有する妊産婦への1)心理教育,2)Shared Decision Makingに基づいた周産期ケアプランの作成,3)社会福祉資源の導入,4)家族教育,5)養育スキルトレーニングで構成される,包括的介入プログラムを作成し,その効果について前方視的調査を実施した。
結果,介入後および産後1カ月の時点で,精神症状や全体的機能水準の改善が示唆された。本研究は対照群を設けないオープン試験であり,今後,対照群を設けた多施設研究によりさらに症例数を増やして検討することが望ましいと考える。