2014 年 26 巻 4 号 p. 404-409
一般身体疾患に伴う精神病性障害を呈する疾患には神経変性疾患や中枢神経感染症,内分泌疾患,代謝性疾患など種々の病態がある。今回,ウィルソン病による重度の肝機能障害のため腹水を呈し,腹膜炎を併発,治療目的で消化器内科入院中に被害妄想,衝動行為を呈し,一般病棟での入院が継続できない状態であったため,本人の保護と衝動コントロール目的で,精神科へ転科,医療保護入院となり,臨床経過や神経画像情報などから,ウィルソン病に起因する精神病性障害と診断した症例を経験したので若干の文献的考察とともに報告する。ウィルソン病によりさまざまな精神症状を呈することを知っておく必要があることを喚起した。