2015 年 27 巻 1 号 p. 44-47
外科医の非手技的な特性である防衛機制が手術成績に有意に影響を与えることが示され,現在外科領域ならびに医療安全の領域で注目されている。今回われわれは,Quick Inventory of Depression Symptomatology(QIDS)を評価尺度として,群馬県内の心臓血管外科専門医にアンケート調査を行った。12名(46.2%)から回答を得た。精神科的介入が必要だと判定された心臓血管外科専門医は皆無であった。3名(25%)が術前と術中に軽躁状態にあると診断されたが,これは安全で遅滞ない手術の遂行に有利に働いていると思われた。また,3名(25%)は受動攻撃性や行動化といった未熟な防衛機制を術前術中に危機状況ストレスに対して対処反応として用いていた。心臓血管外科専門医の大多数9 名(75%)は成熟した防衛機制を対処反応として用いて手術を行っており,術中ストレスに適切に対応する認知を獲得していた。