総合病院精神医学
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総説
難治性うつ病に対する反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)および磁気けいれん療法(MST)の臨床応用
野田 賀大
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2016 年 28 巻 2 号 p. 132-146

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抄録

rTMSやMSTの現況について,主に海外のガイドラインを紹介しながらそれらの知見を概説した。薬物治療抵抗性うつ病(TRD)に対するrTMSは,急性期治療としてはECTには及ばないものの,再発予防目的の維持療法としてはECTと同等である可能性が示唆されている。MSTに関しては,急性期治療においてもECTと同等の治療効果が期待できる治療法であり,施術後の回復もECTと比べ非常に早いという特徴がある。さらにrTMSやMSTは,ECTが抱えているような社会的スティグマや認知機能障害などの副作用が非常に少なく,費用対効果もECTとほぼ同等であると考えられている。神経刺激治療は,薬物による副作用を軽減し,長期的には全体の医療費を抑制できる可能性も十分秘めている。今後は,rTMSをはじめとした神経刺激の治療メカニズムをさらに詳細に解明していくことで,治療パラメータやプロトコルの最適化を図り,将来的には患者個人の病態に合わせた個別化医療が実現する日がくるかもしれない。

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© 2016 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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