総合病院精神医学
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経験
当院における4年間の精神科リエゾンチーム活動の成果と課題
福嶋 好重片桐 建志岡田 七津子土屋 真弓小出 ひろ美荒井 宏
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2017 年 29 巻 4 号 p. 336-344

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抄録

精神科リエゾンチーム活動を開始してから4年目に,せん妄の入院日数の比較,看護師へのアンケート調査を行い,チーム活動の成果に関する検討を行った。病棟看護師36名を対象に行ったアンケート調査の結果,チーム介入による変化として,せん妄・不安などの精神症状の改善,ケアやコミュニケーションの改善に関して,80%以上の肯定的な評価を得た。看護師からチームに直接薬の相談ができる,定期的なラウンドがあることなどで,問題解決的な行動をとれるようになったことは大きな成果である。一方,整形外科患者の術後せん妄について,従来の往診のみの患者とリエゾンチームが関与した患者とを比較したところ,リエゾンチームが関与した患者のほうが入院日数,罹病期間ともに短縮化していたが,有意差はなかった。これは,せん妄を発症してからの介入では,従来との差が出にくい可能性が考えられる。今後は,せん妄の予防的な介入の取り組みを検討し,可視化していく必要がある。

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© 2017 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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