総合病院精神医学
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総説
総合病院において抗うつ薬を使う際の注意点
渡邊 衡一郎
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2019 年 31 巻 4 号 p. 395-403

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抄録

総合病院の精神科外来では身体疾患を抱える患者が多く,またあらゆる重症度の患者が訪れる。抗うつ薬の効果(反応率)における強弱の差は小さいとされ,むしろ副作用における違いが大きい。 本稿では,胃腸症状,不眠・焦燥や眠気のほか,特に出血や性機能障害,体重増加,肝障害などあまり知られていないが重篤なものや,QOLに影響し得るものについて概説した。薬物相互作用については,一部抗うつ薬で問題となるものがあり,ワルファリン,テオフィリン,トラマドール,スタチン系薬物,ステロイドなど身体疾患治療薬としてよく使用されているものの,血中濃度を上昇させ得ることに留意しなければならない。抗うつ薬が適した例であるか,また効かなかった場合,変薬や増強・併用のメリット・デメリットなどについて考え選択していく。薬物療法の効果を過信せず,認知行動療法も扱えるようにしていきたい。抗うつ薬投与に際しては,リスクも含めて複数の選択肢について当事者に説明し,当事者とともに選択するということが望ましいと考える。

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© 2019 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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