総合病院精神医学
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総説
総合病院において気分安定薬を使うときの注意点
鈴木 映二
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2019 年 31 巻 4 号 p. 404-413

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抄録

総合病院においては,様々な身体疾患による二次性の躁状態および身体合併症をもつ双極性障害の患者を治療する機会が多い。その場合,臨床医は気分安定薬の有害作用と薬物相互作用に通常以上に注意する必要がある。二次性の躁状態は,高齢患者でしばしば観察され,通常,頭部外傷後12カ月以内に発生する。リチウムは,心不全と腎障害の患者に慎重に投与する必要があり,利尿薬および抗炎症薬との併用には綿密な監視が必要となる。カルバマゼピンは抗コリン作用を有し,薬物代謝酵素を誘導する。バルプロ酸は様々な薬物代謝酵素を阻害し,妊娠中の使用は安全とはいえない。 ラモトリギンは,ウリジン二リン酸グルクロノシルトランスフェラーゼの誘導剤および阻害剤との相互作用に気をつけながら慎重に投与する必要がある。

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© 2019 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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