2020 年 32 巻 1 号 p. 50-56
[目的]急性期医療を担う総合病院での精神科リエゾン活動におけるてんかん患者への対応について検討する。
[対象と方法]2017年4月以降の1年間に,広島市立広島市民病院精神科へ他診療科入院中に紹介されたてんかん患者12例を対象とし,後方視的なカルテ調査を行った。
[結果]男性が10例,女性が2例で平均年齢は72.8±12歳,てんかん発作重積による入院が8例 66.7%,紹介時の入院病棟は9例75%が救命救急センターであった。てんかんの病因と思われる基礎疾患は,脳血管障害の後遺症が6例,肺癌脳転移が2例,不詳が2例であった。精神科診断では,せん妄が4例,せん妄リスク状態が6例などであった。経過観察のみであった1例以外では,薬物療法が行われていた。
[考察]急性期病院では,高齢てんかん患者への救急対応が求められるため,せん妄への対応がリエゾン精神科医の重要な役割のひとつになると考えられた。