総合病院精神医学
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原著
電気けいれん療法における発作誘発困難例と200%機器について
―対応法に関する現況調査と文献レビュー―
諏訪 太朗安田 和幸川島 啓嗣青木 宣篤内沼 虹衣菜嶽北 佳輝和田 健
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2021 年 33 巻 3 号 p. 286-297

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抄録

電気けいれん療法(ECT)において,本邦の治療器で最大の504mC刺激を行っても治療的な発作が誘発できない例(以下困難例)について,経験数,ならびに困難例への対処法,1008mC刺激が可能な治療器(200%機器)の導入について総合病院精神医学会ECT委員とECT研修施設を対象としたアンケート調査を行った。全42施設中,32施設は直近の3年以内に困難例の経験があり,11施設は6例以上経験したと回答した。Benzodiazepine受容体作動薬の調整はほぼ全施設が行っており,これは困難例に限らないECTにおける基本的技法といえる。過換気と麻酔薬減量も9割近くの施設が行っていると回答した。それら以外の一部の技法(remifentanil併用,barbiturateへの麻酔薬変更,パルス幅変更,通電タイミング延長)について,困難例なしと回答した10施設は積極的に行う傾向があった。200%機器の導入については意見が割れており,発作誘発困難例への対応方法を選択するにあたり科学的根拠とそれに基づく指針が求められる。

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© 2021 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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