総合病院精神医学
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原著
災害派遣精神医療チーム(DPAT)携行医薬品管理方法についての実態調査
辛島 昌秀矢口 知絵岸野真 由美間中 一至河嶌 譲高橋 晶
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2021 年 33 巻 3 号 p. 298-308

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抄録

[目的]本研究の目的は,災害派遣精神医療チーム(DPAT)携行医薬品の管理方法について現状を把握し,適切な薬剤管理方法について検討した。

[方法]令和2年度先遣隊DPAT派遣登録機関81施設(病院78施設,精神保健福祉センター3施設)を対象とし,DPAT携行医薬品管理方法についてのアンケート調査を実施した。

[結果]DPAT携行医薬品の準備時間は平均6.3±9.9時間であった。また医薬品の在庫がない場合,医薬品卸業者に注文を行い取り寄せる発注業務の有無が,大幅な準備時間の短縮に寄与することが示唆された。被災地で携行医薬品ケースに鍵を付けずに管理している施設がみられた。品質管理対策は,多くの施設で対策を行っていないことが明らかになった。

[考察]DPATは発災後早期に出動し,被災地で活動が求められている。しかし携行医薬品の準備に時間を要する施設がみられ,今後準備時間の短縮が課題として考えられた。また被災地における,盗難,紛失の潜在的なリスクがあること,および品質管理の徹底が行われていない現状が明らかになった。今後,対策の検討が必要だと考えられた。

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© 2021 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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