2021 年 33 巻 4 号 p. 387-393
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は精神医療においても多大な影響をもたらしている。京都府立医科大学附属病院では,国内で感染者が徐々に増加しつつあった2020年3月中旬,精神科病棟をコロナ病床へ転用することが突然決定した。入院中であった患者には転院いただき,病棟内のゾーニングや環境整備を実施して,COVID-19患者の受け入れを開始した。第1波が収束した同年6月中旬より精神科病棟として運営を再開することとなったが,通常の精神医療を再開する傍ら,京都府が管理する精神疾患合併患者用のコロナ病床を準備・運用することとなり,今日に至るまでに認知症や統合失調症のCOVID陽性患者を受け入れている。コロナ禍による精神病床の突然の閉鎖・転用という事態について,様々な感情を抱いた現場職員の声ととともに経緯を記録し,国内外における同様の例について紹介することを通して,本稿が総合病院精神科の置かれた立場について議論の契機となれば幸いである。