総合病院精神医学
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総説
新型コロナウイルス(COVID-19)第1波が医療従事者のメンタルヘルスに及ぼす影響
佐久間 篤
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2021 年 33 巻 4 号 p. 394-401

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抄録

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが宣言されてから1年以上が経過し,医療従事者へは過度な負担が持続しメンタルヘルスへの影響が懸念されている。第1波に関する海外からの報告を中心に,医療従事者への影響が明らかとなってきている。対応する医療従事者は抑うつ,不安,不眠,心的外傷後ストレス反応,バーンアウトなど多彩な精神症状を高率に経験し,防護具やトレーニング不足,経験年数の少なさ,感染リスクが高い環境での勤務,さらには孤立やスティグマ,職場や周囲からのサポート不足が危険因子となる可能性が示されている。感染症特有の状況もあるが,過去の災害と重なる要因がメンタルヘルスの悪化と関連する可能性が明らかとなってきている。強い症状がある職員への対応,労務環境の改善,惨事ストレスについての普及啓発など,この新たな災害において総合病院精神科が院内や地域の医療従事者のメンタルヘルス対策で果たすべき役割は大きい。

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© 2021 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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