新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応に当たる医療従事者のメンタルヘルスケアは重要である。自衛隊中央病院では早期(2020年2月)からCOVID-19診療に当たり,通常臨床に加え2021年5月からは自衛隊東京大規模接種センターを運営した。院内メンタルヘルスケアを初期から導入し,相談窓口の設置,精神科心理スタッフによる病院と接種センターを巡回しての声掛け・聞き取り,カウンセリング導入,課題や要望事項を病院運営に反映させるなどの対策をとった。職員に定期的にメンタルヘルスチェックを行い,高得点者らにはカウンセリングを実施した。2020年5月(#1),2020年12月(#2),2021年8月(#3),計3回,当院職員約930名に実施したKessler10では,COVID-19患者対応群と非対応群で,高得点者の割合は#1では対応群で有意に高かったが,#2・#3では有意差を認めなかった。#1〜#3を通して80%のスタッフがやりがいを感じると回答し,当院のメンタルヘルスケアには一定の効果があったと考えられた。