総合病院精神医学
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原著
がんの再発や病状悪化に関する不安・心配の対処努力尺度の開発と信頼性および妥当性の検討
畑 琴音小野 はるか鈴木 伸一
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2022 年 34 巻 2 号 p. 151-158

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抄録

目的:がんの再発や病状悪化に関する不安・心配に対処するための行動である対処努力を測定する尺度(ERBA-C)を開発することを目的とした。方法:がんサバイバー94名を対象にアンケート調査を実施した。結果と考察:ERBA-Cは10項目,3因子構造であることが示された。内的整合性の値は十分であり,妥当性の仮説も概ね支持された。ERBA-Cの特徴を検討するため,各ERBA-Cの下位尺度得点について,平均点以上・以下に群分けをし,心理適応との関連を検討した。その結果,「病状の変化を確認する」に関して,高群において対処努力と不安に正の相関が認められた。また,「心身によい活動をする」の高群において,対処努力はうつとの負の相関が認められた。対処努力の内容および頻度によって,心理適応との関連が異なることが示された。結論:ERBA-Cにより対処努力を測定できることで,がんサバイバー適応的および不適応的な対処努力を正確にとらえることができる。

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© 2022 一般社団法人 日本総合病院精神医学会
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