2022 年 34 巻 3 号 p. 251-257
近年,本邦の周産期メンタルヘルスケアはその必要性から急速に充実している。有床の精神科が設置され,助産施設の認定を受けている地域周産期母子医療センターである本施設には,様々な心身のハイリスク妊産婦が紹介される。そのため,多職種・多機関による周産期メンタルヘルスケアシステムを構築している。メンタル面に不調を来した妊産婦を支援するためには,システム内の多職種・多機関におけるコミュニケーションを促進することは重要なポイントである。本稿では,本施設の周産期メンタルヘルスケアを支える①周産期領域,②精神科領域,③薬剤部・妊娠と薬情報センター,④地域関連機関という4つの柱と各柱の間をMSWとともに動き,コミュニケーションを促進する役割を担うリエゾンナースの役割を紹介し考察した。リエゾンナースの活動には一定の効果はあるものの,課題も明確になった。