2025 年 37 巻 3 号 p. 219-226
高齢者,障がい者虐待,DVの問題は深刻な社会問題であり,それぞれに対応する虐待防止法が制定されている。しかし,これらの法律に基づいた虐待予防の仕組みを整備している病院は多くない。病院は虐待を早期発見しやすい立場にあり,迅速な体制整備が求められる。本稿では,従来,児童虐待に対応するシステムのみが存在していた大学病院において,新たに立ち上げた「おとな虐待予防システム(Adult Abuse Prevention System)」の組織概要と実際の運用について紹介し,病院に求められる虐待防止対策について考察する。