日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
リンパ節転移を伴った限局性腹膜悪性中皮腫の1例
稲垣 大輔片山 清文白石 龍二田辺 浩悌谷 和行
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2009 年 42 巻 1 号 p. 127-132

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抄録
 リンパ節転移を伴った限局性腹膜悪性中皮腫で術後に腹腔内再発を来した1例を経験したので報告する.症例は63歳の女性で.職場でのアスベストの曝露歴があった.食思不振と体重減少を主訴に当院を受診した.腹部CTで胃壁と接する境界明瞭な腫瘤を認めた.胃原発のgastro intestinal stromal tumorと診断し,手術を施行した.胃壁と癒合する手拳大の弾性軟の腫瘍を認めた.胃部分切除と近傍のリンパ節摘出を行い腫瘍を摘出した.摘出標本は10 cm大で,中心部壊死を伴う充実性の腫瘍であった.病理組織学的には限局性腹膜悪性中皮腫の診断で,リンパ節転移を認めた.術後経過は良好であったが,術後6か月に腹腔内にびまん性に再発を来した.化学療法(Paclitaxel)を行ったが,術後13か月で死亡した.切除可能な限局性腹膜悪性中皮腫は予後良好と報告されているが,再発の場合には予後不良であると考えられた.
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