2024 年 59 巻 Supplement 号 p. s147_1
<背景>ddcfDNAは、臓器障害を鋭敏に検出し、リスク予測や術後管理最適化を可能にするバイオマーカーとして期待される。多施設で推進しているddcfDNA解析による移植臓器障害診断法開発のプロジェクトを紹介する。<研究概要>1)日本人特有のSNP多型パネルを利用した次世代シーケンサー(NGS)によるddcfDNA測定法を採用。2)パイロットスタディとして肝移植後拒絶反応時のddcfDNAを解析した。3) 心肺肝膵小腸腎の6臓器、8施設の研究体制(AMED移植医療技術開発研究事業)を構築した。<進捗・結果>1)超音波処理ゲノムDNAのNGS解析で、NGSリード数がddcfDNAの割合を正確に反映することを確認した(R^2 = 0.9998)。2)肝移植における拒絶反応時のddcfDNAは、rejection activity indexと高い相関を示した(r=0.740)。3)全8施設での倫理承認を得た。REDCapシステム上にデータベースを構築、移植外科・内科による新規移植患者および移植後生検とのペアサンプルの検体収集中である。<結語>ddcfDNAの解析結果は、移植臓器障害の早期診断、侵襲的検査の減少、免疫抑制調節を含む移植後管理最適化における幅広い応用価値を示唆した。多臓器での有用性の検証が進行中である。