抄録
症例は77歳の男性で,2006年11月よりイレウスを繰り返し前医で加療され,2007年2月に精査目的で当院へ紹介.腹部CTで小腸に重積像を認め,小腸内視鏡検査で空腸に隆起性病変を認めた.小腸腫瘍と診断し腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した.病理組織学的診断は低分化の小腸平滑筋肉腫であった.術後5か月目にUS,CT,MRI,positron emission tomographyを施行するも異常所見は認めなかった.術後6か月目に腹痛で受診.腹部CTで骨盤腔内に10 cm大の腫瘤を認め腸間膜血腫の診断で入院.4日後に施行した腹部CTで血腫の増大傾向を認めたため,血腫を含めた小腸部分切除術を施行した.病理組織学的に平滑筋肉腫の腸間膜再発と診断された.免疫組織化学染色検査ではαSMA,desmin陽性,KIT,CD34陰性であった.現在,小腸において平滑筋肉腫と診断される症例はまれであり,極めて悪性度の高い疾患群であると考えられる.