日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
妊娠中に切除した虫垂粘液嚢腫の1例
田中 宏幸堀江 久永栗田 真紀子濱田 徹熊野 秀俊鯉沼 広治宮倉 安幸冨樫 一智安田 是和弘中 貢
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2009 年 42 巻 6 号 p. 680-684

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抄録
 症例は27歳の女性で,月経不順にて近医産婦人科受診した.右卵巣腫瘍と診断されたが,妊娠したため妊娠中期(妊娠18週0日)に,開腹手術が施行された.開腹所見で右卵巣に腫瘍は認められず,虫垂に長径13 cm大の紡錘形の腫瘍が認められた.前医では切除適応に関する判断がつかず,ハイリスク妊娠症例として当院へ紹介となった.虫垂腫瘍は虫垂粘液嚢腫と考えられたが,破裂のリスクがあること,妊娠中期であったことから虫垂と盲腸の一部の切除術が施行された.病理組織学的検査で虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された.母子ともに術後経過は良好で,その後近医にて正常分娩にて出産した.虫垂粘液嚢腫は,比較的まれな疾患であるが特徴的な症状はなく,偶然見つかることが多く,良悪性の術前診断も困難である.今回,我々は妊娠中に切除した虫垂粘液嚢腫の1例を経験したので,妊娠中の虫垂粘液嚢腫の取扱いについて文献的考察を加え報告する.
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