2010 年 43 巻 12 号 p. 1223-1228
症例は71歳の女性で,黄疸・全身倦怠感を主訴に来院し,精査にて十二指腸乳頭部の内分泌細胞癌と診断され,膵頭十二指腸切除術・リンパ節郭清(D2)を施行した.組織所見では小型で細胞質に乏しい腫瘍細胞が均一にシート状に増殖し,免疫組織化学的検索にてCAM5.2(keratin),chromogranin A, NSEが陽性であった.微小膵浸潤および2群リンパ節転移を認め術後第52日目より肺小細胞癌に準じCDDP/CPT-11およびCDDP/VP-16を含む術後補助化学療法を半年間施行し,現在術後27か月間の無再発生存を得られている.十二指腸乳頭部原発の内分泌細胞癌はまれな疾患であるものの,急速に転移・進行し極めて予後不良とされている.本疾患の治療方針はいまだ確立されていないが,進行症例に術後補助化学療法が有効である可能性が考えられた.