2010 年 43 巻 12 号 p. 1229-1233
症例は66歳の女性で,十二指腸乳頭部癌に対し膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検査所見で2群リンパ節転移(13a, 14c, 14d, 15),膵浸潤(panc2),十二指腸浸潤(du2)を認めた.根治術5か月後に単発性肝転移に対し,肝左葉切除術を施行した.術後補助化学療法として塩酸ゲムシタビン(1,000 mg/body,隔週)を約15か月間投与した.現在まで肝切除後約5年6か月間無再発で経過観察中である.胆道癌肝転移に対する肝切除後の長期生存を報告している論文は少ない.本例は高度のリンパ節転移を認め,術後早期に肝転移再発を来したが,肝切除および術後化学療法を行い,長期生存を得たまれな症例と考え,文献的考察を加えて報告した.