日本消化器外科学会雑誌
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臨床経験
切除不能進行残胃癌症例に対するTS-1経腸瘻投与における薬物動態の検討
宮崎 安弘今村 博司古河 洋龍田 眞行安井 友佳子阿南 節子安井 裕之
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2010 年 43 巻 2 号 p. 214-219

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抄録
 症例は76歳の男性で,噴門側胃切除術後残胃癌に対して,開腹術を施行した.局所浸潤著明の為切除不能であり逆行性胃瘻造設術,腸瘻造設術を行った.術後18日目より,1次治療として経腸瘻的にTS-1投与を開始した.同時にテガフール(FT),5-FU,ギメラシル(CDHP),オテラシルカリウム(Oxo)の血漿濃度測定を行った.FTは投与30分後にCmax(1,920 ng/mL)が観測され,5-FUのCmax(89.2 ng/mL)は投与2時間後に観測された.CDHP, OxoのCmax(162.2 ng/mL,および119.6 ng/mL)はそれぞれ投与1時間後に観測された.Grade3以上の有害事象を認めず,同一治療を2コース行い原発巣の縮小を確認した.現在4コース目を施行中である.経口摂取不能である切除不能進行再発胃癌患者に対して,経管投与によるTS-1単剤療法は有用であると考えられた.
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