日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
出血を来した腹腔内血管肉腫の1例
大目 祐介河本 和幸守本 芳典伊藤 雅小笠原 敬三
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2010 年 43 巻 2 号 p. 208-213

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抄録
 出血を来した腹腔内血管肉腫の1例を経験したので報告する.症例は66歳の男性で,著明な貧血,腹部膨満を認め当院に紹介となった.CT,腹水穿刺にて大量の腹腔内出血が疑われた.明らかな出血部位は不明であったが,緊急開腹手術を施行した.開腹所見では,腸間膜に数mm程度の暗赤色結節を多数認め,そのそれぞれから漏出性の出血を来していた.大網には2~3 cm大の結節形成を認め,主な出血源と考えられ,大網を可及的に切除したが,完全な止血は困難であった.腹腔内を検索したかぎり,その他明らかな腫瘍は認めなかった.病理組織学的検査にて血管肉腫と診断した.術後精査にて原発巣は確定できず,大網または腸間膜原発の血管肉腫と考えられた.大網,腸間膜原発血管肉腫は極めてまれな疾患である.一般に,血管肉腫は非常に予後不良であり,本症例も術後33日目に死亡した.
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