日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
直腸癌による穿孔を伴った成人腸重積症の1例
鈴木 大亮嶋村 文彦宮崎 勝
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2010 年 43 巻 3 号 p. 288-292

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抄録
 症例は86歳の女性で,突然の腹痛,嘔吐,腹部膨満を主訴に近医受診した.腸閉塞の診断で入院となり,保存的に経過をみるも症状改善しないため,当センター紹介となった.腹部は全体的に緊満し,腹膜刺激症状を認めた.直腸診で肛門から約3 cmに比較的やわらかい隆起性病変を認め,腹部CTでは,多量の腹水,腹腔内遊離ガス像および上部直腸に重積腸管を認めた.直腸腫瘍による腸重積,および腸管穿孔,汎発性腹膜炎の診断にて緊急手術を施行した.腹腔内に多量の便汁および,上部直腸に直腸腫瘍,重積腸管を認め,ハッチンソン手技にてこれを解除すると,腫瘍の口側に2 cm大の穿孔部を認めた.Hartmann手術,洗浄ドレナージ術を施行した.直腸癌による穿孔を伴った腸重積症はまれであり,若干の文献的考察を加え報告する.
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