抄録
症例は56歳の男性で,下腹部痛・意識障害で当院消化器内科を受診.CTで腹腔内出血を指摘され入院,保存的治療の後に退院となった.退院3週間後に下血・意識障害にて当院救急外来受診となった.CTでは横行結腸に接して壁の造影効果を伴う95×64 mmの腫瘤を認め,内部に一部造影剤の漏出を認めた.血管造影検査では中結腸動脈左枝に数珠状の血管とその末梢に動脈瘤を認めた.塞栓術が試みられたがカニュレーション不能のため,外科紹介となった.血管造影検査所見からsegmental arterial mediolysis(以下,SAM)と診断し,緊急手術を行った.開腹所見では脾彎曲部の横行結腸に接した長径9 cmの腫瘤を認めた.これを含め,結腸部分切除術を施行.腫瘤は二つの仮性動脈瘤で形成され,片方の仮性動脈瘤が横行結腸に穿破した潰瘍形成を認め,これが下血の原因と考えられた.病理組織学的検査結果ではSAMによる中結腸動脈瘤再破裂と診断された.