日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
胆管嚢胞腫瘍3症例の検討
山下 俊田中 信孝秦 正二郎鈴木 良夫
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2010 年 43 巻 5 号 p. 513-518

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抄録
 胆管嚢胞腫瘍の3症例を経験した.症例1は21歳の女性で,胆管嚢胞腺腫を疑い拡大肝右葉切除を,症例2は39歳の女性で,胆管嚢胞腺腫を疑い肝左葉切除を,症例3は61歳の男性で,粘液産生胆管癌を疑い肝左葉切除を行った.病理組織学的検査結果は症例1,2は胆管嚢胞腺腫で卵巣様間質を後者のみに認め,胆管との交通は両者で認めた.症例3は胆管嚢胞腺癌で卵巣様間質はなく胆管との交通を認めた.WHO分類の膵上皮腫瘍は卵巣様間質の有無でintraductal papillary mucinous neoplasm(以下,IPMNと略記)・mucinous cystic neoplasm(以下,MCNと略記)と分類されるが肝上皮腫瘍の胆管嚢胞腫瘍で卵巣様間質の有無は分類に寄与しない.症例1,3のごとく卵巣様間質を伴わず胆管と交通を有する疾患は症例2と成因が違い,膵IPMNのカウンターパートと考えられる.胆管嚢胞腫瘍を病理組織学的に細分類しうる可能性がある.
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