日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した腸間膜神経鞘腫の1例
新田 健雄海老原 裕磨宮坂 大介佐々木 剛志川原田 陽北城 秀司奥芝 俊一加藤 紘之佐藤 英俊
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2010 年 43 巻 5 号 p. 559-564

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抄録
 患者は53歳の女性で,心窩部痛を主訴に近医受診し,CTにて十二指腸腫瘤を指摘され精査加療目的で当院紹介入院となった.精査にて十二指腸水平脚に大きさ約30 mm大の粘膜下腫瘍様の腫瘤が認められ,十二指腸gastrointestinal stromal tumor(以下,GISTと略記)と診断された.腫瘍の大きさより手術の相対的適応と判断され,腹腔鏡下腫瘍摘出術を施行した.トライツ靭帯近傍の空腸腸間膜に約40 mm大の腫瘍を認め,腸管切除を行わずに摘出術にて切除可能であった.免疫組織化学染色にて,S-100陽性,c-kit陰性,CD34陰性などの所見が得られ腸間膜神経鞘腫と最終診断した.術後経過良好にて,術後8日目に退院となった.術後12か月現在,再発を認めていない.腸間膜神経鞘腫はまれな疾患のため術前診断が困難で診断的治療としてのアプローチの選択に苦慮することが多いが,侵襲の少ない腹腔鏡下手術の良い適応と考えられた.
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