日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
術前に診断しえたileosigmoid knotの2症例
上野 陽介矢野 公一多賀 聡秋元 寿文蒲池 健一島内 貴弘石田 慎悟衛藤 英一新島 奈津子
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2012 年 45 巻 1 号 p. 93-100

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抄録
 急性腹症を来す疾患に腸管結節形成症があり非常にまれとされ,そのうち回腸とS状結腸が結節を形成するものがileosigmoid knot(以下,ISKと略記)である.ISKでは小腸,S状結腸それぞれに通過障害,腸管虚血が生じ自然軽快は望めず,早期手術が必要である.我々はISKの2症例を経験した.症例1はS状結腸根部を回腸が時計方向に回旋し結節を形成するISK IA型であった.小腸切除を必要としたが,術後経過良好であった.症例2はS状結腸が小腸を時計方向に回旋し結節を形成しているISK IIA型であった.S状結腸の高度虚血性変化ありS状結腸切除を行うも,術後,敗血症性ショックにより,術後第1病日に死亡した.ISKは腸閉塞手術の約1%程度のまれな疾患ではあるが,造影CTでのwhirl sign,腸管のdouble closed loopといった特徴的所見を把握することで術前診断が可能であった.
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