日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
経皮ドレナージが困難な術後膵液瘻に対する超音波内視鏡ガイド下内瘻術の経験
山本 和幸平野 聡田中 栄一古川 聖太郎那須 裕也加藤 健太郎松本 譲土川 貴裕七戸 俊明近藤 哲
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 45 巻 2 号 p. 197-202

詳細
抄録

 症例は79歳の男性で,膵頭部癌に対し亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術後9日目に膵・空腸吻合部ドレーン排液のアミラーゼ値の上昇を認め,膵液瘻と診断した.経皮ドレナージを継続し膵液瘻は改善したため,術後26日目にドレナージチューブを抜去した.術後36日目に発熱,腹痛を認め,CTで膵・空腸吻合部近傍に液体貯留を認めたため,膵液瘻の再燃と診断した.ドレナージの適応と判断したが,経皮的穿刺は腹壁直下に小腸が存在するため困難であった.経胃的超音波内視鏡下にドレナージを試み,内瘻チューブの留置に成功した.その後,自他覚的所見の改善が得られ,CTで膵・空腸吻合部近傍の液体貯留の消失が確認されたため,内瘻チューブ留置後29日目に退院となった.退院後3週間目に内瘻チューブの自然脱落を認めたが,術後9か月後の現在も無症状で良好に経過している.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top