2012 年 45 巻 2 号 p. 197-202
症例は79歳の男性で,膵頭部癌に対し亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術後9日目に膵・空腸吻合部ドレーン排液のアミラーゼ値の上昇を認め,膵液瘻と診断した.経皮ドレナージを継続し膵液瘻は改善したため,術後26日目にドレナージチューブを抜去した.術後36日目に発熱,腹痛を認め,CTで膵・空腸吻合部近傍に液体貯留を認めたため,膵液瘻の再燃と診断した.ドレナージの適応と判断したが,経皮的穿刺は腹壁直下に小腸が存在するため困難であった.経胃的超音波内視鏡下にドレナージを試み,内瘻チューブの留置に成功した.その後,自他覚的所見の改善が得られ,CTで膵・空腸吻合部近傍の液体貯留の消失が確認されたため,内瘻チューブ留置後29日目に退院となった.退院後3週間目に内瘻チューブの自然脱落を認めたが,術後9か月後の現在も無症状で良好に経過している.