日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
症例報告
Granulocyte-colony stimulating factor(G-CSF)産生上行結腸癌の1例
川井田 啓介門野 潤上田 英昭大迫 政彦石崎 直樹清水 健鮫島 淳一郎井本 浩田畑 峯雄
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 45 巻 5 号 p. 537-543

詳細
抄録

 症例は81歳の女性で,大腸内視鏡検査で上行結腸肝彎曲部に全周性2型病変を認め,生検で中分化から低分化型腺癌と診断された.CTで同部の壁肥厚と,傍大動脈リンパ節転移,腹膜播種,多発肺転移を認め,腸閉塞予防目的に結腸右半切除術を施行した.術後,発熱,白血球増加,CRPの高値が持続したが感染源は指摘しえず.血中granulocyte-colony stimulating factor(以下,G-CSFと略記)濃度が124pg/mlと高値で,腫瘍部は免疫組織化学染色でG-CSFが弱陽性でありG-CSF産生結腸癌と診断した.FOLFOX4療法を6コース施行し多発リンパ節,肺転移は著明に縮小したが,多量の胸腹水貯留を認め,術後7か月で癌死した.G-CSF産生大腸癌の予後は不良であるが,FOLFOX4療法の有用性が示唆された.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top