症例は76歳の男性で,スクリーニング目的で施行された腹部超音波検査にて,脾臓に径3 cm大の腫瘤性病変を指摘された.症状は認めなかった.腹部造影CT,腹部MRIにて確定診断がつかず,脾腫瘤の精査加療目的に当科受診となった.FDG-PETで同部位に強い集積が認められたため,悪性腫瘍の可能性を疑い,手術を施行した.術後の病理組織学的検索にて,炎症性筋繊維芽細胞性腫瘍(inflammatory myofibroblastic tumor;以下,IMTと略記)と診断した.術後経過は良好であり,無再発に経過していたが,術後2年3か月後,原発性肺癌を発症した.化学療法を施行されたが,脾摘術後3年4か月で肺癌にて死亡した.脾原発IMTの本邦での報告は5例のみと極めてまれな疾患であり,文献的考察を加えて報告する.