日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
血液透析を施行せず早期に腹膜透析を再開できた腹腔鏡下胆囊摘出術の1例
吉本 裕紀田中 明安部 俊弘藤川 貴久多田 誠一郎前川 久継下池 典広西山 光郎
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2013 年 46 巻 10 号 p. 734-741

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抄録
 症例は78歳の男性で,胆石・胆囊炎にて紹介となった.2年前より腎不全にて持続携行式腹膜透析(continuous ambulatory peritoneal dialysis;以下,CAPDと略記)中であったが,自尿は1,000 ml/日程度認められていた.手術当日の朝CAPD透析液を排出し手術室に入室,腹腔鏡下胆囊摘出術(laparoscopic cholecystectomy;LC)を施行,創部は全て2層に密に閉創した.術後経過は良好で翌日から食事摂取を開始し,第3病日より半分の透析液量でCAPDを再開した.透析液量を漸増し,第5病日には通常量になったため血液透析(hemodialysis;以下,HDと略記)を施行することなく第6病日に退院となった.術後2年経過する現在まで合併症なくCAPDも順調に施行できている.CAPD患者においても,閉創法,透析液の開始量などの工夫を行えば,症例によっては術後HDを回避でき,早期にCAPDを再開できる可能性が示唆された.
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