日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
術前画像と術後病理組織像に乖離がみられた膵癌術前化学放射線療法の3例
末永 雅也藤井 努山田 豪奥村 徳夫竹田 伸中尾 昭公小寺 泰弘
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2013 年 46 巻 2 号 p. 106-113

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抄録
 術前化学放射線療法を施行し,根治切除術を施行した膵癌の3例を経験した.いずれの症例も主要動脈への腫瘍の浸潤が疑われ,切除境界病変と考え術前化学放射線療法を施行した.画像による術前治療の効果判定は有効(PR)から不変(SD)であったが,血管浸潤部は不変であった.3例とも開腹術に臨み,術中迅速病理検査で動脈剥離断端が癌陰性であることを確認し,門脈合併切除を伴う亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.術後の病理組織学的検査にていずれの症例も60%以上の腫瘍細胞の消失を認め,術直前の画像所見における腫瘍縮小効果との乖離がみられた.術前化学放射線療法は有望な治療であるが,術前治療後の画像所見における切除可能性の評価は容易ではなく,開腹術に臨まなければ切除可能症例を見逃す可能性が示唆された.
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