日本消化器外科学会雑誌
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症例報告
診断に苦慮した限局性悪性腹膜中皮腫の1例
長谷川 康弘黒田 房邦竹村 真一川口 桂
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キーワード: 悪性腹膜中皮腫, 限局性
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2013 年 46 巻 7 号 p. 547-553

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抄録

 症例は48歳の男性で,腹痛を主訴に前医を受診した.腹部超音波検査で肝腫瘍が疑われ,精査加療目的に当院紹介となった.腹部超音波検査で肝臓に接する境界明瞭な径約5 cmの病変を認めた.腹部造影CTでは漸増型の弱い造影効果を示す腫瘤を認めた.PETでは同部位に高度集積を認めた.腫瘍マーカーはCEA,CA19-9,AFP,PIVKA-IIともに正常範囲内であった.以上より,肝腫瘍あるいは後腹膜悪性腫瘍,gastrointestinal stromal tumor が疑われ,腫瘍摘出術を行った.病理組織学的検査では免疫染色検査でcalretinin,cytokeratin 5/6,D2-40,AE1/AE3は陽性で,CEA,cytokeratin 20は陰性であった.以上より,悪性腹膜中皮腫と診断された.術後経過は良好で術後9か月経過時点で無再発生存中である.

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